出産前後の就業・育児休業の手引き

 女性社員の就業については、妊娠中、出産前後、育児期間中各時期によって配慮しなければならないことがあります。これは労働基準法育児・介護休業法などで定められている内容です。このページは、妊娠中および出産後の就業制限や出産休暇、育児休業、仕事を行ううえでの留意点をまとめたものです。それぞれの時期ごとに分けて記していますので、参考にしてください。

 (男性社員も一定の条件の下で育児休業を行うことができます、このページでは説明を省略しています)

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各時期のポイント

 

出産前

出産前後

育児期間

社員の状況

妊娠中

出産前後

育児休業

復職後

子1歳まで

子3歳まで

子小学校就学始期まで

休暇・休業

出産休暇(労働基準法)

育児休業(育児休業法)

子の看護休暇(育児休業法)

賃金の支給

通常の支給

0%

賃金支給無し

0%
賃金支給無し

通常の支給

通常の支給

通常の支給

(所得保障)健康保険の給付金

― 

 @出産育児一時金(定額)35万円

A出産手当金…平均賃金(標準報酬日額)の2/3

― 

― 

― 

― 

(所得保障)雇用保険の給付金

 ―

 ―

平均賃金(休業前賃金)の合計50%

 ―

 ―

 ―

時間外労働

×

×

深夜業

×

×

×

×

休日出勤

×

×

  ×印:この期間中は、本人が請求した場合は時間外労働や深夜業が制限されます。(社員が請求すれば「時間外労働や深夜業をさせてはならない」ことが、法律で決められています)

 

T.妊娠中の期間
1.就業
 妊娠中、体調が不安定になり、休憩や休暇等をとる必要がある場合は、本人の判断・選択により、次の制度を利用することができます。

 (1) 年次有給休暇(賃金は通常通り支給されます。)

 (2) フレックスタイム制(会社に制度がある場合)
    ただし、その月の実労働時間がその月の所定労働時間を下回った場合、その不足時間分の賃金はカットされます。

 なお勤務時間中の「休憩」については、本人の体調や職場の状況にもよりますが、母体保護の面から、次の例を参考に、職場の上司・責任者と相談のうえご対応ください。(職場では配慮してください。)
 例示  @  可能な限り体を楽にできる場所で休む。
         A  休憩室や休憩用のソファーなどで休む。 等

2.就業に関する制限
 妊娠中および産後1年以内の女性社員は、次の就業が制限されます。
 (社員が請求すれば従事させてはならないことが、法律で決められています。)
(1)(本人が請求した場合)時間外労働、休日労働、深夜業
(2)(本人の請求の有無に関わらず)妊娠、出産、保育に有害な重量物を取扱う業務や有毒ガスを発散する場所での業務等
 ※また妊娠中に限り、女性社員が請求した場合は、他の軽易な業務への転換が認められます。

3.保健指導・健康診査を受けるための時間確保について
 母子健康保険法による保健指導または健康診査(以下、「健康診査等」と記す)を受けるための時間の確保を申出た場合、勤務時間の中でもそれに必要な時間を受けることができます。
(1)  必要な時間を確保しなければならない回数
   【産前】  妊娠23週まで               4週に1回
            妊娠24週から35週まで     2週に1回
             妊娠36週から出産まで      1週に1回
            ただし、医師または助産婦(以下医師等)がこれと異なる

         指示をしたときは、その指示によります。
   【産後】  産後(1年以内)           医師等の指示による

 健康診査と保健指導が別の日に実施された場合でも、両方で1回とみなしますので、どちらに対しても、時間を確保しなければなりません。

4.医師等から指導のあった場合の措置
 妊娠中および出産後の女性社員は、健康診査等を受け、医師等から次の指導を受ける場合があります。この場合、指導内容に応じて所属長と相談のうえ、必要な対応を行ってください。
(1) 妊娠中の通勤緩和(交通機関の混雑を避ける)
 指導の内容としては時差通勤、勤務時間の短縮等があります。
 これらの指導を受けた旨の申出があった場合は、フレックスタイム制のある会社の場合はフレックスタイム制を活用することで対応することができます。

 ※勤務時間を短縮した場合の賃金の扱い
 その月の実労働時間がその月の所定労働時間を下回った場合、その不足時間分の賃金はカットされます。(下記Bの措置として指導された場合も同様の扱いです)
(2) 妊娠中の休憩に関する措置
 医師等から休憩に関する措置について指導を受けた旨、妊娠中の女性社員から申し出があった場合には女性社員の状況に応じて、適宜、休憩時間の延長、休憩回数の増加、休憩時間帯の変更などの措置を行ってください。
 部屋の一部において休憩できるようにするため長椅子等を利用する場合は、つい立てを立てる等の工夫をすることが望まれます。また、立作業に従事している妊娠中の女性社員のそばに椅子を置くなどにより、休憩が取りやすいように工夫することが望まれます。

(3) 妊娠中または出産後の症状(つわり、妊婦貧血等)に対応する措置
 指導の内容としては、症状に応じて作業の制限、勤務時間の短縮、休業等があります。
 ※指導に基づく必要な措置が不明確な場合
 担当の医師等に連絡をとり、判断を求め、必要な対応を行ってください。


U.出産前後の期間
1.出産休暇(出産前後の休業期間)
 労働基準法により出産前後の就業制限や、出産休暇を取ることのできる期間が定められています。
(1) 出産休暇の利用開始日
 出産予定日から6週間さかのぼった日から出産休暇をとることができます。
(2) 産前
 産前6週間(多胎妊娠の場合は14週間)は、本人が請求した場合は休暇をとることができます。なお本人が請求しない場合は、引き続き就業することができます。最も長く就業する場合、出産日の前日まで、普段どおりの就業をすることができます
 ※引き続き就業する場合は、当然、「妊娠中の期間」の項であげた点への配慮が必要となります。
(3) 出産日
 出産休暇や健康保険の給付金(出産手当金)の日数を数えるとき、出産日(当日)は「産前」に含まれます。
(4) 産後
 産後8週間については本人の請求の有無に関わらず、就業することはできません。母体保護の面から、本人の請求の有無にかかわらず就業が制限されています。ただし、産後6週間を経過し、復職を請求した場合は、医師が支障ないと認めた業務に就くことはできます。
(5) 出産休暇と有給休暇の関係
 産前の6週間については、出産休暇と有給休暇のどちらかを選択して使うこともできます。一方、産後8週間は、有給休暇を使うことはできません。
(6) 実際の出産日が予定日より前後した場合
 実際の出産日までが産前の期間です。予定日より後に出産した場合、産前の期間が6週間を超えることもありますが、その延長した日数も、出産休暇を受けることができます。産後8週間の期間は、実際の出産日の翌日からカウントします。

2.賃金の取り扱い、健康保険の給付金
 出産休暇期間中、賃金は不支給となります。この期間中の所得保障として、本人の申請により、健康保険から、次の2つの給付金が支給されます。
(1) 出産育児一時金
 子1児について定額の35万円双子の場合は70万円、子の数に応じて増額)が支給されます。

(2) 出産手当金
 出産休暇を使って就業しなかった期間について、平均賃金(標準報酬日額)の3分の2の金額出産手当金として支給されます。この給付金の対象となる「出産」とは、妊娠4カ月(85日)以上の出産をいい、生産、死産、流産、早産のすべてが含まれます。
 これらの給付金の請求については、所定の書式がありますので勤務先の人事担当者にお問合せください。


V.育児期間
 産後8週間を経過した後は、「育児休業」または「復職」を選択できます。それぞれの留意点は次のとおりです。(育児・介護休業法により、育児休業についての取り扱いが定められています)

1.育児休業
 子が出生した日から1歳になる日(誕生日の前日)までの間で、社員が申し出た期間、育児休業を取ることができます。また、保育所への入所申込みを行っているにもかかわらず、子が1歳になった後も保育所への受入ができない場合などは、一定の手続きを行い、さらに1歳6カ月に達するまで育児休業をすることができます。

雇用保険の給付金
 育児休業期間中は賃金は支給されません。この期間中の所得保障として、本人の申請により雇用保険から次の2つの給付金が支給されます。
(1) 育児休業基本給付金
 休業一日当り、平均賃金(=休業開始時の賃金日額)の30%が支給されます。
 育児休業を行った期間について2カ月毎に一回後払いで支給されます。
(2) 職場復帰給付金
 休業一日当り、休業開始時の賃金日額の20%が支給されます。
 休業が終わって復職後6カ月以上を経過してから(復職し7カ月経過した後に)支給されます。
 この2つの給付金で、合計では平均賃金の約50%程度が保障されます休業中に毎月支払われるのではなく、「育児休業基本給付金」(30%相当額)は休業中に2カ月毎に1回、「職場復帰給付金」(20%相当額)は元の会社に復職してから6カ月経過してからでないと支給されません。そのため休業開始直後の2カ月間については、賃金は支払われず、雇用保険からの給付金も後にならないと支払われないという時期が出てきますのでご注意ください。
 これらの給付金の請求については、勤務先の人事担当者にお問合せください。

育児休業を受ける場合の留意点
 育児休業を受ける場合の留意点は次のとおりです。

(1) 育児休業の申出
 休業開始を希望する日の1カ月前までに休業の期間(開始〜終了の日程)等を申し出てください。(実務上は、出産休暇に入る前に確認します。)
(2) 休業期間の変更
 @休業開始予定日の繰上げ変更
 すでに休業開始の希望日を申出ていても、出産予定日より早い子の出生および配偶者の死亡、病気、負傷等があった場合は、休業開始日を繰上げ変更することができます。変更後休業開始を希望する日の1週間前までに変更の申出をしてください。
 A休業終了予定日の繰下げ変更
 事由を問わず、1回に限り、休業を終了する日を繰下げ変更し、期間を延長することができます。(延長できるのは、子が1歳に達する日までです。)休業を終了する日の1ヵ月前までに申出てください。
 B育児休業の終了
 育児休業の期間は、次の場合に終了します。
  ア.子が1歳に達した場合
  イ.育児休業をしている社員について、出産休暇、介護休業または、新たな育児休業が始まった場合
  ウ.子を養育しないこととなった場合(子の死亡等)
  エ.育児休業の適用を受けることができない事由が生じた場合
 C育児休業の申出の撤回
 休業開始予定日の前日までに(できるだけ早目に)申出てください。原則再び同じ子について休業を申出ることはできませんが、次の場合に限り再申出ができます。
  ア.配偶者の死亡
  イ.配偶者が負傷、疾病等により子の養育が困難になったこと
  ウ.離婚等により配偶者が子と同居しないこととなったこと

(3) 育児休業中の社員に対する会社・職場の対応(情報提供他)
 社員が通常就業していれば、会社から受ける情報や資料の提供等については、育児休業中も可能なものは続けて提供します。(所属長はご配慮ください)
  例示:社内報・社内ニュース等の定期送付等

2.復職後の期間
 女性社員は子の年齢に応じて、次の取り扱いを受けることができます。
(1) 就業
 @子の養育のための配慮
 幼児期の子供は、定期的な予防接種や、急な発熱・体調不良などで保健所・病院等へ通う場合があります。こうした場合、本人の選択により2ページの囲みの制度(年次有給休暇など)を利用することができます。

(2) 1歳未満の子を育てる場合
 育児休業を取った後で、子が1歳になる前に復職した場合も含みます。
 @育児時間
 1歳未満の子を育てる女性社員は、あらかじめ所属長に申出て1日2回、1回につき30分の育児時間を受けることができます。これは、1回30分の育児時間を2回受けても、1回60分としてまとめて受けてもかまいません。また、30分または60分の時間分、始業時刻の繰下げ、終業時刻の繰上げを行うこともできます。所属長と事前にご相談のうえ、決めてください。
 ※この60分の賃金支給の有無については、会社の就業規則によります。
 A時間外労働などの制限
 産後1年以内の女性が請求した場合、時間外労働、休日労働、深夜業は制限されます。

(3) 小学校に就学するまでの子を育てる場合
 (小学校に就学するまでの子とは、「満6歳に達した日以後の最初の3月末まで」の年齢の子のことです。)
 @就業制限
  ア.深夜業の制限
    本人が請求した場合、午後10時〜午前5時までの深夜の労働は制限されます。
  イ.時間外労働の上限
    本人が希望する場合は、時間外労働は「年間150時間」が上限となります。
   ※ 所属長は、復職時に、本人に説明・ご確認ください。

 A子の看護休暇
 小学校に入学するまでの子を養育する場合は、勤務先に申し出ることにより、一年度に5労働日を限度として、「子の看護休暇」を取得することができます。(育児・介護休業法に定める「子の看護休暇」)なお、この休暇の賃金の取り扱いが有給か無給かは勤務先の就業規則によります。

(4) 職場復帰時の導入教育
 職場においては、育児休業に限らず、長期休業者が職場復帰した場合は、スムーズに業務を進めるためにも、次の教育・説明等を行ってください。
 @職場業務遂行上の教育、引き継ぎ
 A休業前後での変更点などの説明・教育
  組織、社内制度、業務方法、システム、業務に関する法令、顧客情報 その他情報について育児休業前と仕事の進め方や取り扱い内容が変更した点を中心に、説明・教育を行ってください。


W.その他

1.次年度の年次有給休暇
 次年度の有給休暇の日数付与にあたっては、産前産後の休業期間(出産休暇)および育児休業期間は「出勤したもの」として取り扱われます。有給休暇は毎年、前年までの勤続年数(在籍年数)にしたがって付与されますが、出産休暇や育児休業を取ったことにより、次の年の有給休暇の日数が減ることはありません。

2.復職後の配属先
 育児休業終了後は、原則として元の職場に復帰となります。ただし、復職時における人員状況および本人の能力、健康状態等を総合的に勘案し、職場の変更を行う場合があります。

 

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