2008年5月16日に日本・インドネシア両国の経済連携協定(EPA)が国会で承認され、翌週5月22、23日に東京・大阪で社団法人国際厚生事業団(厚生労働省事務官同席)によるインドネシア人看護師・介護福祉士の受入についての説明会が開催された。当事務所は5月23日の大阪での説明会に参加いたしました。説明会の概要を備忘メモの形で記します。 (文責:永井弘行)
内容:日本・インドネシアEPAによるインドネシア人看護師・介護福祉士候補者の受入れについての説明会
日時:2008年5月23日(金)
場所:大阪市内
説明者:社団法人国際厚生事業団、質疑応答については、内容に応じて国際厚生事業団および厚生労働省社会・援護局担当官より回答。
1.看護師コース・介護福祉士コース共通の説明要旨
インドネシア人看護師・介護福祉士候補者の受入れについて、日本とインドネシアとの経済連携協定に基づき、本年5月16日(金)に国会承認がなされた。翌週5月19日(月)に厚生労働省告示がなされ、東京・大阪で受入についての説明会が開催されることとなった。社団法人国際厚生事業団(JICWELS)は、日本で唯一の受入調整機関である。昨年の安部首相とインドネシアのユドヨノ大統領の会談に始まり、両国の協定により2年間で1,000人を受入れるものである。
受入制度の枠組みとして、看護師については来日から3年の滞在中に国家資格を取得する、介護福祉士については4年の滞在中に国家資格を取得することを前提とした内容であり、国家資格取得後、継続して日本国内での就労が可能となる。所定の期間中に国家試験に不合格であれば、帰国することを前提としている。
今回の受入は日本インドネシア経済連携協定に基づき行われる受入であり、一定の条件に合致する病院・施設だけが受入可能となる特例的な措置である。次の3点が要件となっている。
ア)来日後、日本語研修などの導入研修を行うこと。
イ) 受入施設は「研修計画」を作成し、適切に研修を行うこと。
(日本人と同等の処遇を行うこと)
ウ)送出し側、受入側がそれぞれ一元管理で行う。
一元管理を担当するのは、日本側は厚生労働省の指定機関である国際厚生事業団であり、インドネシア側はNational Board(インドネシア海外労働者派遣・保護庁)である。この2機関で日本での勤務を希望するインドネシア人と、受入を希望する病院や介護施設などの間で、連絡・調整・選考・受入先とのマッチングを行う。また就労後の相談への対応も行う。
本年は看護師は上限200人、介護福祉士は上限300人の受入を行う。受入時期は来年の国家試験の6カ月以上前に入国するというタイミングから、看護師は8月上旬までに入国、介護福祉士は7月下旬までに入国の予定である。来日後の第1回目の国家資格受験時期として、看護師は来年2月、介護福祉士は来年1月の試験を受験する予定である。こうした日程を前提に、求人の募集、受入期間(病院・介護施設)の申込受付を行う。告示から極めて短期間であるが、よろしくお願いしたい。本年は1年目であり何としても成功させたい。
2.看護師コース・介護福祉士コースの各説明内容
(記載省略)
次の3冊のパンフレットおよび配布資料に基づく説明がなされた。それぞれの冊子は、看護師コース、介護福祉士コースの2種類有り。
1)「インドネシア人看護師・介護福祉士受入枠組み」
2)「求人登録申請の手引き」
3)「雇用契約締結から施設内研修・雇用管理までの手引き」
なお、看護師および介護福祉士の候補者は、どちらもインドネシアで看護師2年以上の経験者が、看護または介護のいずれかのコースを選択して来日する予定である。(介護の分野については、インドネシアでの介護業務の経験者ではなく、「看護師の実務経験者」が「介護福祉士の候補者」として入国する予定である)
3.当日の質疑応答より
1)インドネシアの看護師資格
インドネシアでは看護師の国家試験はない。看護学校(3年制)、看護大学(4年生)といった所定の学校を卒業していれば、看護師業務を行うことができる。来日するのはインドネシアで看護学校・大学を卒業後、2年間以上の看護師の実務経験のある人である。看護師コースについては、日本に来日しても、日本の国家試験合格前は看護師候補であり、看護助手としての立場で勤務することとなる。
2)日本語の能力・導入教育
現在、インドネシアの候補者の中で、日本語能力検定試験2級以上の語学力を持っている人は皆無と思われる。ほとんどの人が日本語は初心者であり、ほぼ全員が日本に来日後、6カ月間の日本語研修を受ける見込みである。日本語の知識が全く無い(日本語の初心者)状態で研修を受けた場合、6カ月間の日本語教育では、2級相当に到達することは困難である。6カ月間で3級程度の能力を身に付け、各受入先へ入っていくことになる。現時点では、日本語の研修機関がどこになるかは決まっていない。
看護師や介護福祉士の国家試験を、場合によっては日本語だけではなく英語やインドネシア語で行う可能性について。日本の国家資格であり、日本人に対してサービスを行うための資格であることから、現時点では日本語以外の言語で国家試験を行うことは考えていない。(厚生労働省の事務官より返答)
3)イスラム教の理解
受入先にイスラム教の宗教や生活習慣を理解してもらうために、事業団で別途、パンフレットを作成・配布する予定である。インドネシアは中東諸国に比べるとイスラム教国の中でも、イスラム教の戒律が比較的ゆるい国柄であるといわれている。食事についてはブタ肉を食べない、また一日に5回の礼拝を行う、といった日本人には馴染みの少ない面もある。礼拝については、例えば更衣室の一角を使ってもらうといった対応がある。こうしたことを相互に理解して受入れを行えば、文化の違いも乗り越えていけると考えている。
4)選定基準(研修計画)
受入病院・施設の研修計画を中心に選考を行う予定である。研修計画の内容が適切にデザインされているかを中心に選定し、全国で上位100施設(看護師)を選ぶ予定である。
5)雇用にあたっての配慮
1機関につき2人以上の雇用を考えている。異国の地で一人だけにしない、インドネシア人どうしであるからこそ分かることなどがあり、勤務を続けやすいように2人以上としている。
賃金額についてはインドネシア政府からは、看護師は月給200,000円以上、介護福祉士は月給175,000円以上という希望が出されている。ただしこれは同国政府の希望であり、結果的に下回ることも有り得る。各施設で同様の業務に従事している従業員の賃金水準と同等になるように定めてほしい。同じ施設で勤務している看護助手と同等以上の処遇を行ってほしい、ということである。
以上
