給与と税金・保険料(給与明細の内容について)

賃金と税金・社会保険料について 

 会社に勤務すると給与が支払われます。同時に給与から税金や社会保険料が引き去りされます(「天引き」と言われる仕組みです)。これは「法定控除」といって、会社が給与から税金や保険料を引き去り、従業員に代わって国に納付する(住民税は市町村に納付する)ことが法律で決まっているものです。給与明細のサンプルとともに、どんな内容のものが控除されるのかを理解しましょう。

 

1. 給与から引かれる税金、保険料
 「税引き前賃金」「税引き後賃金(手取り額)」という言葉を聞いたことはありませんか?「税引き前賃金」とは会社が支給する給与の額のことで、そこから税金・社会保険料などが引かれて実際に自分のもとに入る金額が「税引き後賃金(手取り額)」です。
 給与明細書サンプルでも、税引き前賃金、税引き後賃金(手取り額)の違いが示されています。サンプルを見て確認してください。

 給与明細書サンプル(PDF)はこちら

 給与からは次の税金、保険料が控除されることが、現在の法律で決まっています。

区分

名称

内容

毎月の増減の有無

税金 所得税 給与を支給する毎に計算される税金です。 時間外手当などが発生し、給与総額が増減すれば、それに比例して所得税額も増減します。
住民税 前年1年間の所得に対して計算される税金です。(市町村に納付)  毎年6月〜翌年5月まで定額(原則)。
社会保険 健康保険料 業務外の病気や「けが」などに対して支払われる保険です。  毎年10月〜翌年9月まで定額(原則)。
介護保険料 健康保険に加入している40歳以上の方が加入します。 毎年10月〜翌年9月まで定額(原則)。
厚生年金保険料 業務外の死亡・障害・老齢などに対して支払われる保険です。 毎年10月〜翌年9月まで定額(原則)。
雇用保険料 失業した場合に生活の安定を図る目的の保険です(いわゆる「失業保険」です)。 時間外手当などで給与総額が増減すれば、それに比例して雇用保険料額も増減します。
 これらの税金、社会保険料は、全て会社がまとめて国に納付します(住民税のみ市町村に納付します)。

 賞与(ボーナス)が支給される場合も、住民税以外の税金、保険料が全て引かれます。
 なお労災保険会社が全額負担します。給与からの引き去りはありません。業務上で「けが」や病気を負ったときは、労災保険から療養のための費用などが支払われます。


2. 税金について
1)所得税
 給与を支給する毎に計算される税金です。
 この所得税は、扶養家族の有無・人数、また自分や家族が障害者かどうかなどにより、税額が軽減される仕組みになっています。このような個人情報を記入して申告するのが「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」です。新しく会社に入社したときや、転職で勤務先が変わった場合などは、速やかに人事担当者にこの申告書を提出してください。

 

2)住民税
 前年1年間の所得に対して計算される税金です。
 自分が住んでいる(住民票のある)市町村に納付されます。前年1年間の所得がなければ、所得税はありません。3月に学校を卒業後、4月に会社に入社したような場合は、最初の1年目は住民税の引き去りがありませんが、2年目から引き去りが始まります。
 (例示)平成20年3月に高校や大学を卒業し、20年4月に会社に入社した場合。
 平成20年4月から翌年5月(平成21年5月)までは住民税はありません。翌年6月(平成21年6月)から、住民税の引き去りが始まります。平成20年4月〜12月までの所得額に応じて、平成21年6月以降の住民税の金額が決まります。

 

3.社会保険について
1)健康保険
 業務外の病気や「けが」に対して支払われる保険です。
 病院窓口では、本人は3割負担です。風邪を引いて病院に出かけ、注射を受け飲み薬をもらったような場合、本人が窓口で支払うのは医療費総額の3割です。残る7割はこの健康保険から支払われます。
 また扶養している家族(被扶養者家族)も含まれます。被扶養者である家族が出産したときは、家族出産育児一時金として35万円が支給されます。

2) 介護保険
 健康保険に加入している40歳以上の方が加入します。40歳に達したときから給与から引き去りが始まります。また従業員本人は40歳未満でも、被扶養家族が40歳以上の場合は、介護保険料が引き去りされます。

3)厚生年金保険
 従業員の生活の安定と福祉の向上を目的とした保険です。老齢・障害・死亡などに対して支払われます。厚生年金といえば年をとってからもらう年金(老齢厚生年金)というイメージが強いですが、厚生年金には次の3種類があり、死亡したときや身体に障害が残った場合にも支払われます。
 @老齢厚生年金 (原則)65歳以降に支払われる年金
 A障害厚生年金 障害1級〜3級の状態にあるときに支払われます。
 B遺族厚生年金 厚生年金保険料を支払っている従業員が死亡したとき、その遺族に支払われます。
 年を取ったときだけではなく、自分が死亡したときには遺族に対して年金が支払われます。また病気や「けが」をして身体に障害が残ったときにも厚生年金保険から年金が支払われます。このように、年を取ったときの年金だけではなく、支払われる範囲が広いことを理解しておきましょう。

4) 雇用保険
 いわゆる「失業保険」と呼ばれる保険で、失業した場合に生活の安定を図るための保険です。
 会社に勤めている期間中でも、育児・介護のため休業し給料が支払われない期間は、雇用保険から所得保障の給付(育児休業の場合は平均賃金の50%相当額、介護休業の場合は40%相当額が支払われます。
 また、雇用保険を支払い続けて4年目以降は「教育訓練給付」を受けることができます。これは英会話や資格取得の学習などで学校に通った場合にかかった費用の一部が給付される制度です。厚生労働省が認めた教育訓練の受講のために支払った費用の20%相当額(最大10万円まで)の給付を受けることができます。

5) 労災保険
 「労働者災害補償保険」が正式名称です。業務上または通勤による負傷、疾病、障害、死亡などに対して保険給付が行われます。業務上、「けが」をした(負傷した)場合は「療養補償給付」として、労災保険から治療費が給付されます。
 他の社会保険と違って保険料は全額会社が負担します。従業員の保険料支払いはありません。(給与や賞与から労災保険の保険料が引かれることはありません)


4.社会保険の保険料率について
   前提:事業の種類が「サービス業」(政府管掌健保、その他の事業)

   給与・賞与から控除される保険料の料率

  会社負担 本人(従業員)負担 合計

健康保険(政管健保)

4.1 %

4.1 %

8.2 %

介護保険

0.565 %

0.565 %

1.13 %

厚生年金保険

7.498 %

7.498 %

14.996 %

雇用保険

0.9 %

0.6 %

1.5 %

労災保険

0.45 %

0.45 %

児童手当拠出金

0.13 %

0.13 %

 介護保険料は、介護保険の第2号被保険者(原則40歳以上、65歳未満の健康保険の被保険者)が対象となります。
 なお現在の法律(厚生年金保険法)では、平成29年まで毎年、厚生年金保険料が改定(増額)されることが決まっています。

  計算例 :
  給与の月額 200,000円の場合
  雇用保険料は、200,000円×0.6%=1,200円となり、1,200円が
  給与から差し引かれます。

 

 上記の説明内容をA4版文書(PDF)で見るにはこちら